KIGEKI
「は・・・花園君!!」
花園が腕組みをしながら、宮澤の後ろに立っていた。
「かして。」
「えっ?何を?」
「筆に決まってんだろ。お前、下手すぎ。」
半ば強引に彼女から筆を執った花園は、デザインが書かれた紙を片手に色を塗り始めた。
「すごいっ!!すごいっ!!」
色の濃さがバラバラだった看板は、同じ色の濃さになり、はみ出していたところは修正されていく。
「お前、うるさい。顔汚れてるから、洗ってこれば?」
作業をしながら、花園はそういった。宮澤は、ありがとうと言って近くの女子便所に向かった。
「意外すぎる・・・。」
顔を洗いながら、つぶやいた。花園が絵がうまいことも、花園が現れたことも宮澤にとって意外すぎて、これは夢なのかもしれないと思うほどだった。