―彼氏と彼女―




 図書館の奥の奥―――滅多に誰も足を踏み入れない棚まで来ると、彼女を棚に押し付け、唇を押し当てる。




「ん…っ」



 彼女は必死に俺の胸を押すけど、俺はその腕を掴むと更に体を引き寄せ、隙間もないほどに密着させる。

 息苦しさのせいか、彼女の力が緩み、新鮮な空気を求めるその唇がほんの少し開いた―――




「ふ、んん…っ やぁ………

 ………っ」




 ―――ヤバい。



 彼女の甘い甘い吐息。

 口中に広がる蜜のような香りに、抑えが効かない。





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