―彼氏と彼女―




 ……なのに、さっきの会話…。




「その棚に用があるんですけど」


 まだ声変わりをしていないその声が、俺の思考を止めた。



「ああ、悪かったな」


 俺の声に、沙智の体がゆっくり動いた。
 彼女も二人の姿に気付いたのか、目を丸くしながら見つめていた。




「悪い、無茶させて。

 休憩室に行こう?」


 言って彼女の手を取ると、俺を見上げて小さく頷いた。

 その頬は、まだ赤く染まっている。


 その姿があまりにも可愛くて、彼女の頭に優しくキスをした。




「……かっこいぃ…」


 さっきのカップル(?)の女の子が呟くように言うと、それを聞いた沙智は恥ずかしそうに俺の後ろに隠れる。

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