―彼氏と彼女―




「君の彼氏も格好いいね」



 微笑み付きで女の子に言うと、隣の少年はあからさまにムッとして、


「とりあえず、早くそこを退いて」



 ―――少年の瞳は、男の目。

 年齢なんて関係なく、自分の女に手を出そうとする男に向ける、威嚇の目。




「悪かったな。待たせた」


 そう言った俺に、彼は「別に」そう言って俺を追い越し奥に進んで行った。



「行くよ」


 その姿を横目に、彼女の手を優しく引いてそのまま休憩室へと足を向けた。


 さっきまで座り込んでいた女の子はすでに立ち上がり、立ち去る俺達に軽く会釈すると、彼氏の元へ向かっていった。

< 189 / 209 >

この作品をシェア

pagetop