―彼氏と彼女―




「鷹臣」



 後ろからの声に振り向くと、眼鏡をかけた黒髪の男が近付いてきた。



「忠司も来てたのか」

「絵里が宿題解らないって泣きついて来た」


 俺の隣にさりげなく座るコイツは、同じ学校の絵里の彼氏。

 俺とコイツは中学からの仲だ。



「なんでわざわざこんなとこで…」

「沙智ちゃんいるんだろ?
 絵里が一緒がいいって言うから」



 忠司の言葉に、俺は呆れた顔になる。




 ……忠司は絵里にとことん優しい。


 基本、誰にでも優しい奴だけど。絵里が相手となると、砂糖に蜂蜜とガムシロと練乳混ぜ込んだみたいな甘さを出す。


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