―彼氏と彼女―




「え、絵里、お前…」

「忠司聞いた?

 あの事まだ沙智に話してなかったんだよ?タカ君てば!」



 絵里は俺を指差しながら近づいてくる。

 が、その後ろにいる沙智は俯いたまま、俺を見ない。




「沙智…」


 俺が沙智に近づこうと一歩踏み出すと、絵里は俺の腕を掴んで

「ちょっと! ちゃんと説明してあげなさいよ」

 めちゃくちゃ怒りながら小声で訴えてきた。



「絵里、とりあえず落ち着いて」

「だって…!」

「まぁまぁ、な?
 後は鷹臣に任せよう?」




 後ろから二人の話し声が聞こえる中、ゆっくり沙智に近づいた。

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