―彼氏と彼女―
「バカ…」
立ち去る姿をただ見つめるしかなかった俺の後ろからは、忠司の呆れた声が聞こえた。
―――俺の頭は真っ白。
泣いてた。
黙ってた俺もいけなかったけど……どうしてそんなに怒るんだ?
「酷いじゃない! 沙智あんなに泣かして…っ」
俺の背中を、恐らくグーで殴りながら叫ぶ絵里の声は、泣き声だ。
……てか。俺はなんでこんなに怒られてんの?
この状況に頭が追いつかない俺に、忠司が一言。
「鷹臣は説明不足なんだよ」
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