音楽室の太陽
校舎に入り、1年の靴箱に移動。
まだ初々しさが残る制服を着ている私同様に、1年の皆はまだ入学気分が抜けていない。
ローファーを靴箱にしまい、代わりに出した赤色のスリッパを履いて教室までゆっくりと移動した。
まったり好きの私は、歩く速度も話す速さもまったりなんだって。
自覚しているわけじゃないけど、昔からよく言われてた。
良いのか悪いのかよく分からないけど、私という人間の1つとして覚えてもらえたら嬉しいかな。
教室のドアは自然と開けられていたから、私は静かにドアをくぐり自分の席につく。
“ ドンッ ”
「っわ、」
「きゃっ」
自分の席を目の前にして、いきなり背中に小さな衝撃。
振り返ると、
「痛ったあー…」
「あ、ごめんなさい…」
「何だ、立花さんか」
衝撃で小さく顔を歪めた、クラスメイトの竹島美鈴(タケシマ/ミレイ)がいた。
何だ、と言って不機嫌そうな竹島さんは
「いるって分からなかったー。気をつけてね」
そう言い残して、クラスメイトが集まっている所へ消えた。
「…今来たんですけど」
小さく、聞こえるか聞こえないかの声量で呟いて
自分の席に腰を下ろした。