デビルズプラン
デビルズプラン
「キヨハルさんでいいよ」「……え?」
先輩に対してその呼び方はないよねって入社したてで困惑気味のアタシを横目で見ながら、当時のキヨハル先輩は暑そうにスーツのジャケットを脱いだんだ
忘れられないのは、(いい匂い……)その時の柑橘系の香り
ああ、もうあれから4年
キヨハル先輩とかれこれ1年くらい続けていた某社への営業が、遂に実を結んだ帰り道
もういい加減通り慣れた道
嬉しそうなキヨハル先輩
夕方過ぎには雨の予報
目に映るのは曇り空、アタシの心はすでに雨模様
「1年か、けっこうてこずったな」
「はい」
「通い続けた甲斐あって良かったな、春野」
「そうですね」
「……」
うっかり口をついて出てしまいそう、昨夜…町で偶然みかけたあの光景
「春野」…………
「おい、春野」…………
「春野陽子」…………
「陽子ちゃん」…………
耳元に熱い息がかかって「おい、陽子」と先輩の怒ってる時の低い声
驚いた血液がドクリと心臓に流れ込む
「どーしました?」冷静を装ったアタシに、目を細めて不審そうな顔をしたキヨハル先輩
「どーしましたじゃねえよ、おまえ今日は一日中うわの空な」
アタシはノー天気な表情の先輩の手をつかんで、その顔にテレパシーを送ってみる
先輩に対してその呼び方はないよねって入社したてで困惑気味のアタシを横目で見ながら、当時のキヨハル先輩は暑そうにスーツのジャケットを脱いだんだ
忘れられないのは、(いい匂い……)その時の柑橘系の香り
ああ、もうあれから4年
キヨハル先輩とかれこれ1年くらい続けていた某社への営業が、遂に実を結んだ帰り道
もういい加減通り慣れた道
嬉しそうなキヨハル先輩
夕方過ぎには雨の予報
目に映るのは曇り空、アタシの心はすでに雨模様
「1年か、けっこうてこずったな」
「はい」
「通い続けた甲斐あって良かったな、春野」
「そうですね」
「……」
うっかり口をついて出てしまいそう、昨夜…町で偶然みかけたあの光景
「春野」…………
「おい、春野」…………
「春野陽子」…………
「陽子ちゃん」…………
耳元に熱い息がかかって「おい、陽子」と先輩の怒ってる時の低い声
驚いた血液がドクリと心臓に流れ込む
「どーしました?」冷静を装ったアタシに、目を細めて不審そうな顔をしたキヨハル先輩
「どーしましたじゃねえよ、おまえ今日は一日中うわの空な」
アタシはノー天気な表情の先輩の手をつかんで、その顔にテレパシーを送ってみる