ずっと、傍に。【Side He】 完


「…由紀くん、このメール、誰から?」



彼女の手には、画面が輝く携帯電話。

それは受信メールの画面になっていた。


[サツキ]と登録された名前と、
また遊ぼ、と軽く書かれた文章。

トイレに行っている間に、また携帯のロックを解いたらしい。


舌打ちしたくなる気持ちを抑える。



「…友達」


「友達?ただの友達が、ハートマーク使う?」



お前が絵文字を滅多に使わないだけじゃん、という台詞を飲み込む。

震える彼女。


面倒だと。どうしようもないくらい面倒だと、思った。



「…使うんじゃない?」


人によっては、と付け加えた言葉は、あまりにも空々しすぎて笑えた。









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