「え、凛も知ってるんだ?」

   
   「お向かいのお部屋でお客さんがずっと立ってるんですもん

    気付きますよ」


   可愛らしく笑いながら

  
   あ、お客さんいただいちゃいました

    
   なんてさらっと言うもんだから

  
   女って怖いな


   って実感する

   
   全く、

   
   くりくりした目は綺麗なのに


   それが何を見てるのかさっぱり分からない


   朱色の着物を羽織りタオルを首に掛ける


   「大丈夫ですよ、凪さんには内緒ですから」


   小さな声でそう囁き

   
   嬉しそうな顔をするが


   もう遅い

   
   「あー、ありがとね」

  
   先ほど逃げてきたばかりだ


  
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