白昼夢



   3週間


   彼は来なかった


   もともと気まぐれではあったが


   こんなに顔を出さないのは珍しい


   彼を見ないうちに


   季節は春になろうとしていて


   店の前のアカシアの花が咲き始めた


   この辺では珍しくて


   綺麗に咲く


   と評判の花


   風が吹くと葉の銀色の筋がキラキラと光る

   
   花言葉は


   優雅


   凪さんは


   この言葉が似合う女になりなさい


   と


   口うるさく言う


   当の本人は


   確かに似合う気がする


   黙っていれば



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