仮
少し肌寒くなって七輪に炭を入れた
オーナーが細部までこだわり過ぎているせいで
不便なところも多々ある
おかげで部屋が温まるのに小一時間掛かる
七輪を端に寄せたところで襖がノックされた
「どうぞ」
と一声かければ
見慣れた顔がニコッと微笑んだ
「久しぶり」
「どうも、お久しぶりです」
こちらも笑って返事をすると
何の躊躇いもなく布団へ寝転がる
「もう、ちゃんと閉めてくださいよ」
立ち上がり開けっ放しの襖を閉める
当の本人は
「…疲れた」
の一言
気怠そうに身体を起こしては
「おいで」
と両手を広げてくる
この馴れ馴れしい感じがどうも憎めない