32回、好きって言うよ。
起こすのも悪いなと思って、山積みの参考書のうち一冊手に取ってみる。
付箋がたくさん張ってある。
いっぱい勉強したんだな…。
付箋の付いている所を開いてみる。
《この公式は覚える》
《これは基本だから出やすい》
ふぅん、そうなんだ…。
パラパラとページをめくる。
《これは解けるようにする》
《+、-の間違いに注意!》
……あれ、これって…?
急いでページをめくり、最後に貼ってある付箋を見て確信した。
《お前なら大丈夫だから落ち着いて頑張れよ》
あたしのために、書いてくれたの?
あたしが追試に合格できるように。
時間かかったり、したんじゃないの?
もしかして今寝てるのって、寝不足とか?
あぁ、もう、どうしてこんなに優しいんだろう。
こんなの、諦められる訳ないよ…。