32回、好きって言うよ。



「、あ」



「あ、はよ」




どうしてこういう日に限って会ってしまうんだろう。


会いたいって思ってたってあえない日もたくさんあるのに、なんで?



いつも通りの挨拶をした翼先輩に、早くも泣きそうになる。





「あのさ、昨日-…」



「あっ、あの!
あたし…次、移動教室で。失礼します!」



遮った。

いつもなら次の授業に遅れてでも、自分から会話を終わらせたりしない。


不自然に、思ったかな。

しかも次は数学で、移動教室なんかじゃないことに今更気付く。



だって、怖かった。
聞きたくなかった。


何度“好き”をスルーされたって、断られたって、頑張ってきたけど。



彼女がいるなんて、諦めるしかないじゃん。

そんなこと聞いちゃったら、好きって思っちゃいけないじゃん。




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