32回、好きって言うよ。
13.叶わなくたって好きです。
今日もまた、溜め息をついて校門をくぐった。あの日から一週間。
あのシュシュはやっぱり付けられなくて、今日も髪はおろしている。
「茉桜って本当、わかりやすいよね」
教室に入るなり言われた美紅の開口第一声。
「え?」
「何か隠してる。
ていうかテンション低すぎ」
う、バレてる。
内心慌てながらも、また笑顔をつくる。
「全然元気だよー!」
「嘘」
美紅の顔が近い。
必死に目を合わせないように顔を背ける。
「早見先輩にもらったシュシュはどうしたの?
今さっき廊下を通った先輩に声をかけなかったのは何でなの?
最近恋バナしないのは何でなの?」
「……」
鋭い質問責めに言葉を失う。
前髪を直すふりをして目元を隠した。
……こうしないと涙目なのがバレちゃうから。