32回、好きって言うよ。
「っ……、消えちゃった」
キキィッと止まった自転車。
乱れた息を整える翼先輩。
「……疲れた」
そう言って笑う翼先輩は、いつもの大人な彼とは違って。
子どもみたいに、無邪気な笑顔。
「じゃあ、帰りはあたしが漕ぎます!」
「できんの?」
「はいっ!
結構体力はあるんですよ?」
近くにあった自販機で飲み物を買って、帰ることにした。
「よしっ!」
気合いを入れて自転車に跨がる。
翼先輩を後ろに乗せて、ペダルを踏む。