32回、好きって言うよ。
「茉桜?」
優しく笑う翼先輩が好きで。
並んで歩く、人1人分のこの距離感が好きで。
夕焼けに包まれて歩く、この時間が幸せ。
「茉桜、さっきのヤツ」
「え?」
「西原…だっけ」
「うん?」
「……仲いいんだな」
え、もしかして。
「ヤキモチ妬いてる?」
「っ…やっぱ忘れて」
「可愛いー」
「うるさい」
微かに赤くなってる頬に、やっと少しだけポーカーフェイスが崩せたような気がした。
でも。
「まだまだかな…」
「何が?」
「まだ翼先輩のが余裕だし」
「?」
意味がわかっていない翼先輩を見て、あはっ、と笑う。