32回、好きって言うよ。



「あの……早見くんが好きです。良かったら付き合ってください」




聞こえた可愛い声に、バッと窓に駆け寄る。


…早見くんって、言った?



声の正体を確かめるべく、窓の外を見る。

ここは2階のため、すぐ下に見つけられた2人の姿。


あれは、3年で1番美人な先輩。


そして、予想通り翼先輩。



ごめんなさい。

覗き見なんて趣味悪いけど、気になるものは気になるんです!





「…ごめん。付き合えない」



「あ……うん、わかった。聞いてくれてありがとう」


そう言って立ち去った美人先輩。


先輩には悪いけど、内心ホッとする。



と、不意に上を見上げた翼先輩。





「ぎゃっ」



なんとも可愛げのない悲鳴。


咄嗟のことで隠れる暇もなかった。




「…覗きですか。悪趣味」


はい、すみません。



「ていうか何してるの」


「…先生の……パシりです…」



「あ、そう」



自分で聞いたんじゃないですか。

そんなに興味なさそうな返事しなくても。




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