32回、好きって言うよ。
しかも、その返事だけを残して歩いて行ってしまった翼先輩。
…酷すぎないですか。
見えなくなった先輩の姿。
「…はぁ」
翼先輩は、振り向いてくれない。
あたしの気持ちだってきっと気付いてるのに、気付かないふりをする。
…なんて、浸っても仕方ないか。
「仕事しよ」
仕事って程でもないけど。
プリントにシャーペンを走らせて、次々と埋めていく欄。
6人終わった。
あーあ、面倒くさいな。
机に突っ伏していると。
ガラッ
開いたドアに飛び起きると、予想もしなかった彼がいた。
「翼先輩……」
「うん」
“うん”って…。
翼先輩は無言であたしの隣の席に座り、あたしからシャーペンを奪った。
そしてスラスラと書かれていく名前。