32回、好きって言うよ。
「…そうだな」
少し目を細めて、窓の外を見る彼。
その横顔がすごく綺麗で、なぜか少し泣きそうになった。
しばらくして着いた資料室。
頼まれた場所にプリントを置いて、彼に頭を下げた。
「ありがとうございます!
助かりました」
「別に」
彼もプリントを置いて、こっちを向いた。
「…あ、これ…」
棚の上に見つけた、CDを手に取る。
好きなアーティストのアルバム。
「あ、それ」
あたしの手元をのぞき込んで、CDを見た彼。
「好きなの?」
「はい、大好きです!」
「俺も好き」
誰かの忘れ物かな、とCDを手に取った彼。