32回、好きって言うよ。



―――――――――――――




「はぁ……何してんの」




そんな言葉と共に、渡されたプリント。



あ、そう言えばプリント拾うの忘れてた。


我に返ったあたしは、


「ありがとうございま……翼先輩!」



目を丸くした。






「何ボーッとしてんだよ」


笑いながら聞く翼先輩に、


「翼先輩のこと考えてました」


って言うと翼先輩は、は?って顔したけど。



多分、あの日の事なんて覚えてないんだろうな。


あたしにとっては特別な思い出でも、翼先輩にとっては忘れちゃうような事だと思う。



そう、思ったのに。





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