32回、好きって言うよ。




そして始まった映画。



だけど椅子の距離が思った以上に近くて、あんまり集中できない。


ドキドキする心臓がうるさい。




チラッと隣を見ると、やっぱり綺麗な横顔。

胸がキュッて締め付ける。




「…何」



「な、なんでもないです」



盗み見してたのバレてた!



集中できないとは言ったものの、やっぱり入り込んでしまって最後には大号泣した。








「ヒック……うぅ~…」




大泣きしているあたしを連れて歩かなきゃいけない翼先輩には、さぞ迷惑をかけているだろう。






「……泣きすぎ」



「だってぇ……」



「そんなに泣く?普通」



「泣かない方がっ……オカシイよぉ……ヒック…」




「俺が泣かせたみたいじゃん」



「ごめ…なさぃ……っ」





頑張って止めようとしても止まらない涙。



呆れられちゃう。早く泣きやまなきゃ。




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