32回、好きって言うよ。
「じゃあ俺、こっちだから」
駅で翼先輩が言った。
家の方向が逆なので、反対側のホームに行くんだ。
「はい!今日はありがとうございました!
今までで最高の誕生日でしたっ」
トントンと階段を降りてホームに着くと、反対側のホームに翼先輩。
翼先輩もこっちに気付いた。
手を振ると、振り返してくれる。
『す・き・で・す』
ゆっくり口を動かして、伝えた。
瞬間、電車が来て翼先輩は見えなくなってしまった。
電車に乗っても、緩む頬を隠すのに必死だった。