32回、好きって言うよ。



そして約束の翌日の放課後。


美紅に精一杯の声援を送ったあたしは、図書室にいる。


いつもはペンケースと携帯とお弁当くらいしか入っていないバッグに、珍しく教科書が入っている。



この学校に来て2年目にして初めて入った図書室。


だって本読まないし。


見回すと、意外とたくさん人がいた。



参考書を広げている人もいれば、本を読んでいる人もいる。



太陽の光が優しく差し込む、静かな空間。


…こういうの、眠くなっちゃうんだよな。




「…来ないなぁ」



まだ来ない翼先輩。
先にちょっとだけ勉強しておこうと思って、数学の教科書とノートを出してみた。

うん、わからない。




「さいん……こさ…いん…?」



あー!わかんない!


こんなの授業でやった?
いや、やってない。
美紅はやったかもしれないけど、あたしはやってない。




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