32回、好きって言うよ。



ガタッと正面の椅子に座った人影に顔を上げると、翼先輩がいた。




「悪い、ホームルーム長引いて……」



少し荒い呼吸に、走ってきてくれたのかなってキュンとする。



「全然大丈夫です!」


「で、何がわかんないの?」




ネクタイを緩めた翼先輩。

その自然な仕草に見とれてしまう。



何、今の。反則。
格好良すぎる。




「あ、数学なんですけど…」



「ん、これ?」




教科書を覗き込む翼先輩は、メガネをかけた。


え、え、メガネ!?

この人は何でこんなにも萌えポイントをついてくるんだろう。




「翼先輩、メガネなんですか?」


「あぁ、コンタクト切らしてて」


「そうなんですか」




どうしよう。
メガネとかカッコ良すぎる。



メガネの奥の、優しそうな目とか。

緩めたネクタイのせいで少し覗いた鎖骨とか。



心臓がドキドキうるさい。




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