彼と彼女の場合
「そろそろ出ようか?」

バイキングの終了時間も迫ってきたし、お互い満足いくまで食べたし。

「あ、はい!」

立ち上がった俺に続いて彼女が鞄を持って立つのを確認して、出口に向かう。

レジではやっぱり財布を取り出す彼女に、カードで払うからと制して支払いを終え店を出た。

俺は彼女にお金を出させる気はさらさらないんだけど、彼女はどうしても気になるらしい。

「あの、私自分の分出しますよ!」

「いいから。俺が出したいんだから気にしないで」

「でも…」

「そのかわり、まだ時間いいよね?」

「あ、はい。大丈夫ですけど…」

彼女が気にしてるのをいいことにそのかわり、だなんてとことんズルいなと自分で苦笑する。

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