彼と彼女の場合

謝る愛果とまたニヤニヤとしているお母さんに多少居心地悪い思いをしながらいると、さっき出ていった葵くんがよく似た男の子二人を連れて戻ってきた。

「おねえちゃん！」

入ってくるなり愛果に抱きついたのは以前熱をだして俺と愛果が学校まで迎えに行った男の子だった。

「悠斗、ちゃんと挨拶しなさい」

愛果に頭を撫でながら言われて俺を見上げた悠斗くんは、

「むらのゆうとです」

と、彼女の手をぎゅっと握ったままだったがしっかりと自己紹介をしてくれた。

「ほら！夏樹も！」

「村野夏樹です」

愛果に促されて前に出てきた夏樹くんもどこか不機嫌そうだけど、一応挨拶はしてくれた。

「相沢浩汰です。はじめまして」