彼と彼女の場合
「すみませんね、相沢さん」

「いえ、大丈夫です」

残された俺はお母さんと向き合う。

「あの子と付き合ってどれぐらい?」

「梅雨の頃からなのでもうすぐ五ヶ月ぐらいです」

「そう。それで、結婚する気はあるの?」

「え!?あ、はい!できればと思っています」

「よかった。あの子には幸せになってもらいたいのよ。ずっと下の子たちのお母さんがわりをさせてしまっているから…」

「必ず幸せにします!」

「ふふっ、お願いね。うちのことはあの子から聞いてるかしら?」

「はい。少しですが。」

「うちは見ての通り母子家庭よ。私は働き詰めであの子たちをろくに育ててあげられてないし、愛果は家のことを気にして学校だって希望のところにはいかなかった。」

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