彼と彼女の場合
「こんな時間に出てきてもらってごめんね。愛果に会いたくなっちゃって」

「いえ、私が電話であんなこと言っちゃったから…」

「そんなことないよ。愛果の声が聞けて嬉しかった」

それから黙ったままの彼女。

どうやら理由は話してもらえそうにないな…。

聞きたいし、何かあるなら頼ってほしいけど、彼女が言いたくないのに無理に聞き出しても仕方ないし。


「あの…浩汰さん…」

どうしたものか…と考えていたら彼女から声をかけられた。


「ん?どうした?」

もしかして話してくれるのか?


「あの……ギュッて、してもらえませんか?」

「え?ああ、いいよ。おいで」

彼女を引き寄せてギュッと抱き締めた。

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