彼と彼女の場合
やたらと大丈夫、を連発する彼女。

これは彼女が大丈夫じゃないときの癖。

大丈夫、大丈夫と何度も、まるで自分に言い聞かせてるように言いながら、落ち着かせようとしているかのように胸元をトントンと何度も叩くんだ。


何を抱え込んでいるんだろうか?

俺には言えないことなのだろうか?

それとも、俺は頼りにならない存在なんだろうか…。

彼女が必死に大丈夫だと言っているのにこれ以上追及したら追い詰めてしまうかもしれない。


いつか話してくれることを信じて時間も遅いし…と、彼女と別れた。


車を降りる彼女はまた無理に俺に笑顔を向けてくれて、見ていて痛々しかった…。

何もしてあげられない自分に腹が立った。

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