彼と彼女の場合
次の日、昼前に社長室に呼び出された。


もちろん用件はわかってる。
あの東って奴のことがわかったんだろう。



――コンコン

「はい」

「浩汰です」


「ああ、入れ」

「失礼します」



俺が入るとすぐに秘書は出ていって親父と二人になった。


……ああ、嫌な予感しかしない。


親父が仕事以外でこんな難しい顔してるってことは…。


「お前の言ってた東って奴のことがわかった。」


「ああ。それでそいつは何者?」


「お前が言ってた通りフリーライターだった。」

「それで…?」


「ん?それでって?週刊誌なんかで記事を書いてるフリーライター。べつに裏に誰かがついてるとか危ないことするなんてことは書いてなかったよ。」


「そう…。なんでそいつが彼女のことをかぎ回ってたんだ?どうせそっちもわかってるんだろ?」




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