彼と彼女の場合
「なあ…。さっき見たんだけどさ…」


結城の前に腰掛けて一息つき、話しだした。


「何をだよ」

「…村野さん」

「ああ、何、お前待ち伏せしてたわけ?」


待ち伏せって言うなよ…。

「いや、出てくるの待ってただけなんだけどさ」

「それを待ち伏せって言うんだろうが!まあいいや…で?」

「……男…」

「は?はっきり言えよ!お前らしくないな」


くそっ!

口にするのもムカつくんだよ!

でもこいつに聞かないとわからないことだし…


仕方ないか…


「彼女が出てきたらすぐに男が駆け寄って名前呼んだんだよ」

愛果…って…親しげにな!

「んー…もしかして葵くん?」

「は?お前知ってんの?」
「当たり前だろ。よく愛ちゃん迎えにきてるよ」


マジかよ…。
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