彼と彼女の場合
悠斗の通う小学校へ行き、悠斗の教室に向かうとお母さん方がたくさん…。

いつもこの中に入っていくときはちょっと嫌になるけど、悠斗が待ってるんだから行かないと!


私が教室に入ると悠斗がチラッと振り返り、安心したように笑った。

あんな風に笑われると来ないわけにはいかないよね…。


悠斗が生まれた頃、もううちは共働きで…

お母さんはほとんど悠斗のお世話をする時間がなかった。

だから当時9歳だった私が三時間おきにミルクをあげたり、オムツをかえたり、保育園の送り迎えをしていた。

そんなんだったから悠斗が初めてしゃべった言葉は『お母さん』じゃなくて『ねーね』だった。

お母さんは、当たり前よね…ってちょっと寂しそうに笑ってたのを今でも覚えてる。

だからあの子は余計に私に懐いているんだと思う。
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