彼と彼女の場合
「まあしばらくは急かさずそっとしといてやれよ」

結城に言われなくてもそうするしかないだろ。

「わかってるよ!」

「いいねー、春だねー」

佐久間のやつ…

もう初夏だっつうの!

「なんだよ、茶化すなよ!」

「いやー、あれだけ女に興味なかった相沢がこんなになってると思うと…ぶはっ!」

ったく、あんなに大笑いしやがって!

「うるさい!もうお前仕事戻れよ!」

「ごめんごめん!まあ頑張って!」

バシッと俺の肩を叩いて佐久間は仕事に戻っていった。

痛いし…。

「まあまあ。あいつもきっと嬉しいんだって」

「嬉しい?何がだよ?」

「お前からそういう話が聞けること。あいつ心配してたからさ」

ほんとかよ…。

「ただ楽しんでるだけにしか見えないし!まあそういうことにしといてやるか!」

佐久間もほんとは良い奴だしな。
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