彼と彼女の場合
「まぁどうせ近くにいた大学生たちに触発されたんだろ」

うっ…。

なんだよ、見てたのかよ!

「だってあいつらが…」

結城に攻められ歯切れ悪く返す俺に、結城はまたため息を吐く。


うわ…なんか今日こいつのため息ばっかり聞いてる気がする…


「ったく、ガキじゃないんだから」

手元のグラスを空にして呆れたように結城に言われてしまった。


「珍しいねー。いつもクールで冷静な浩汰くんが」

「うるさいよ、佐久間!」

佐久間のやつ…

絶対俺で遊んでやがる。

何が浩汰くんだ!


「おかげで愛ちゃんあのあと仕事にならなかったんだからな」

二杯目に手をつけた結城に軽く睨まれながら言われて、返す言葉もない。


「愛ちゃん目当てのお客さんもいるんだからさー」

わかってるよ…
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