彼と彼女の場合

浩汰side

「ここでいいのかな?」

「はい!ありがとうございます!」

「待って!ついていくよ」
「えっ…いや、大丈夫です!送っていただいただけで十分ですよ。お仕事中なのにすみませんでした」

「ほら、弟さんもしかしたら病院連れていかないといけないかもしれないでしょ?車のほうが楽だと思うから」

「でも…」

まだ渋ってる彼女を無理やり押し切るように先に車を降りて助手席側のドアを開ける。

「はい、降りて。弟さん待ってるよ!」

そういうとやっと降りてくれた。

強引で申し訳ないけど…。
仕事中とかもう正直どうでもよかった。

久しぶりに会えた彼女はいつもの笑顔と違って不安そうで、「大丈夫、大丈夫…」と小さく呟きながらまるで自分を落ち着かせようとしているかのように、胸元をトントンと叩いていたから…。
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