彼と彼女の場合
とてもじゃないけど放っておけるような状態には思えなかった。

とかなんとか言いながら、俺がただ単に少しでも彼女と居たいだけかもしれないが…。


彼女は来慣れているのかどんどんと校舎内を進んでいく。

保健室と書かれた部屋の前で立ち止まり、ノックをすると扉を開けた。

「お姉ちゃん!」

中から元気な声が聞こえたかと思うと、彼女に小さい男の子が抱きついていた。
「悠斗!大丈夫?遅くなってごめんね」

彼女は男の子の頭を優しく撫でてあげている。

「愛果ちゃんごめんね。学校だったんでしょ?」

保健の先生らしき人が彼女に言う。

「先生!大丈夫です。遅くなってすみませんでした。あの、悠斗は?」

「さっき計ったら38度7分だったわ」

「そうですか…」

「まだ大丈夫みたいだけど、今夜と明日ぐらいは様子見てあげて」

「わかりました。ありがとうございました」

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