彼と彼女の場合
いつも笑顔でキラキラしてる彼女の頭の中が、一瞬でも俺だけになればいい…

なんて思ってたのも事実だし。


でも……。


「なぁ、そんなに彼女目当ての客って多いのか?」

「まぁお前ほど通ってるやつはいないけどな!」


結城の言葉に少し安堵する。


「でもさー、その子浩汰がそんな惚れるぐらいなら相当かわいいんだろ?男ぐらいいるでしょ」


考えないようにしてたのに佐久間のやつ…!


俺の不安を見事に言い当てられムカついたからジロッと睨んでやった。


「ぶはっ!」


……目の前で突然吹き出した結城に目をやると、悪い悪い、とか言いながらまだ笑ってるし…。


「はぁー…」

もうため息しか出ない。

ただでさえ昼間の失態にへこんでたのにこいつらに弄られて、俺はテーブルに突っ伏した。
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