甘
そう自分に言い聞かせて。
私は恋に臆病だ。
時計の針を確認すると、ちょうど9時を指している。
家でゆっくりしていようかな…?
そうすれば、きっと気も紛れるだろうし。
そう思って、もう一度布団に潜り込む。
ﾌﾟﾙﾙ…♪
突然、携帯が鳴り出した。
電話着信音に設定した赤のランプが音と一緒に光っている。
着信――――拓
拓からの電話だという事を確認して電話の通話ボタンを押す。
｢もしもし…??拓??｣
｢そうそう!!ちょっと遊ぼうぜっ?暇だろーーっ!?｣
急かすように拓は言うけれど、私は知っている。
拓は、私を元気付けようとしているのだ。
きっと。
