甘
指を差した先は、デパートを指した。
「じゃ、あそこな?」
絶対に、いつもだったら、行かないのに。
しかも、普通だったら嫌がるよ?
これだったら、女の子だって惚れちゃうよ。
なんて、一人で思いながら一人で苦笑して。
「ほら。」
そう言って触れた右の手が、熱くなったなんて拓、気付いてないよね。
自分で、
“ほら。”
って言ったのに、中を入るとさすがに嫌な顔。
だって、中、ピンクだもんね。
入って右側には雑貨屋。
左側にはブランド服。
男の人はいない。
「俺だけじゃんか。ハメたな…?」