甘
「……隼くん?」
あの
手に取っていたぬいぐるみを落とした。
隼…
なんで、私の近くにいるの?
もしかして、あなたは私の……
「何?」
そういっている人の顔を見てみると、あの日の“隼”そのものだった。
あの細い目。
きれながの鼻。
髪はたてていて。
表情だけは、違ったけれど。
こっちが本当の隼なんだと感じた。
保障なんて、どこにもないんだけど。
「今日はさ、隼の家、行かせてよ。付き合ってるんだからさ?」
笑顔でその子が隼に聞いている。
この子と、隼は付き合っているのか。
なのに、あんなことやったの?
「無理。ごめんね?」
いきなり表情が変わった隼にビクッとなる。
その子の肩も、少し動いた。