【番外編】惑溺 SS集
 
「そんなの……! 
リョウがそんな事考えてるなんて知らなかったんだもん。
その事を早く教えてくれないリョウが悪いんだよ」

本当は、私の事を考えていてくれたのが嬉しくて仕方ないのに
もっと早く社員旅行の事を言えば良かったって、すごく後悔してるのに。

意地っ張りな私は、口では生意気な事ばかり言いながら、思いっきりリョウに抱きついて、裸の胸に顔を埋めた。

「ふーん。俺が悪いんだ?」

「そう、リョウが悪い。
もっと早く言ってよ」

「本当、お前素直じゃないよな」

うんざりしたように言いながら、力一杯抱きつく私をゆっくりとなでる優しい手のひら。
リョウの体の温もりが心地よくて、ついうとうとしそうになっていると、

「そういえば、明日の社員旅行って何時から?」

とリョウがたずねてきた。

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