【番外編】惑溺 SS集
 
「そんなに知りたいなら、教えてやるよ」

そう言ったかと思うと、私に覆いかぶさるように乱暴に唇を重ねた。

「ちょ……っ!」

突然の事に驚いて身体を強張らせた私に、リョウは構いもせずキスを続ける。
僅かに開いた唇の隙間から、温かく湿った舌が入ってくる。

「んん……っ」

その舌が私の上顎をなぞった途端、身体の力が抜けた。
不安定なバーのスツールの上でバランスを崩し倒れそうになった私の身体を、リョウは片手で引き寄せるように支えて、

「このくらいで倒れるなよ」

と意地悪に笑った。

このぐらいで、なんて。
こんなキスをしておいて、そんな意地悪な事言わないでよ。

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