【番外編】惑溺 SS集
一気に熱くなる頬。
恥ずかしくて顔をそらす私を、リョウはまるで子供でも抱き上げるみたいに軽々と持ち上げバーカウンターの上に座らせた。
カウンターの上に腰掛けると、背の高いリョウを見下ろす恰好になった。
いつも見上げてばかりだから、こうやって彼を見下ろすなんてなんだか変な感じがする。
そんな事を考えているとリョウが手を伸ばしゆっくりと私の髪を耳にかけ、優しく後頭部を抑えて引き寄せる。
「ちょ、ちょっと待って!
カクテルの名前を教えてくれるんでしょ?」
いつになく甘い雰囲気に私が慌てて声を上げると、
「せっかちだな」
小さな吐息を吐くように笑って、強引に私の顔を引き寄せた。
そして耳元でぞくりとするくらい色っぽい声で囁く。
「……慌てなくても、ゆっくり教えてやるよ」