【番外編】惑溺 SS集
「オーガズム」
カウンターの上の、そのとろりとした琥珀色の液体を見てリョウが耳元でそう言った。
「え、オーガ……?」
はぁはぁ、と肩で息をしながらその言葉の意味が分からずに繰り返すと、
リョウは指を止めて微笑み、
「オーガズム。カクテルの名前」
低く甘い声で、ゆっくりと囁いた。
「オーガズムって、どういう意味……?」
「知りたい?」
そう言って私を試すように微笑むリョウの視線が熱を帯びる。
その色っぽさにぞくりと背筋が震えた。
止まっていた指がまた動き出す。
リョウの舌が耳の中をなぞる。