【番外編】惑溺 SS集
「泣くなよ」
そう言って持っていたグラスをテーブルに置くと、ソファーに私を押し倒した。
自分の白いシャツのボタンを片手で外しながら、挑戦的な瞳で私を見下ろす。
もうぐったりするほど疲れ切っていたはずの私の身体が、内側から熱をもって火照りだすのを感じた。
「泣くなよ。
そんな顔されたら、もっと泣かせたくなる」
そう、意地悪に笑いながら、目じりに滲んだ涙を拭うように、リョウの舌が私の頬をなぞる。
「ねぇ、リョウ……」
覆いかぶさる逞しい肩にしがみついて、彼の耳にだけ届くように小さな声でつぶやいた。