【番外編】惑溺 SS集
鍵穴に鍵を差し込み、ガチャリとドアを開け部屋に入った。
リビングを見回すと、リョウの姿はなかった。
「リョウ……?」
あれ? いないのかな。
でも靴はあるみたいだし……。
不思議に思いながら寝室を開けると、薄暗いその部屋でリョウが寝ていた。
やっぱり、具合悪いんだ。
風邪流行ってるみたいだし、熱でもあるのかな。
寝ているリョウを起こさないように、足音をたてずにそっと近づき、ベッドで眠るリョウを見下ろす。
その、無防備に寝ている姿に思わずドキドキした。
乱れた黒い髪、伏せた長い睫毛、薄く開いた唇。
男らしい首筋から続く綺麗な鎖骨に、逞しい裸の肩。
……って、リョウまた上半身裸で寝てる。具合悪いのにこんな格好で寝て、なおさら悪化しちゃうよ。