ソプラノ
ー放課後
「鈴芽ー!今日まで掃除なんだっけ?」
「ううん、昨日で終わりだよ!意外に早く片付いたから。」
「じゃあ、今日はもしかしてお暇かな?」
「うん、特に予定はないかな。」
「じゃあさ、じゃあさ、亜美の買い物に付き合ってよ!もうすぐ彼氏の誕生日なんだ!」
「もちろん!」
ついこの間まで、毎日こんなやり取りをしていた。
元の生活に戻ったんだ、と鈴芽は思った。
「夢から覚めたみたい…」
「ん?鈴芽、何か言った?」
「え?ううん、独り言!」
「そっか。ボーっとしてると危ないよ?」
「そうだね、気を付ける!」
『掃除、楽しかったな。』
楽しかったけど、忘れよう。
鈴芽はそう決心した。