ソプラノ
「うん、これがいいかも。」
「決まった?」
「決まった。お会計してくる!」
亜美は黒のシンプルな時計を選んだ。
すごくシンプルだけどオシャレなもの。
彼女のセンスは抜群だ。
「亜美ちゃんってやっぱりセンスいいよね、羨ましい。」
「えへへー。でも鈴芽は歌めっちゃ上手いじゃん!亜美はへたっぴだから羨ましく思うよ?」
「じゃあお互い様だね?」
「人は自分にないものを求めちゃうから仕方ないのだ!」
〈〈お前、歌うまいな。〉〉
昨日言われた言葉が脳裏をよぎる。
言われたのは昨日なのに、
ずっと前のように感じた。
そうしている内に駅に着いた。
「鈴芽、今日はありがとう。また来週ね!」
「うん、またね亜美ちゃん!」
「またね~!」